「サンアンドレスにおいて JICAボランティア活動(海岸侵食保全)」 辻 明男 (JICAシニアボランティア・西高19回生))
私は土木エンジニアですが、定年退職後の過ごし方を考えるなかで、まだ元気があるうちに海外の発展途上国で自分の技術や経験などを生かせたらいいなとの思いがありました。そんな折、JICAに気に入った案件があったので応募したら、幸い合格し、平成24年9月から26年9月までの2年間、JICAシニアボランティアとして南米の国コロンビアに赴任する機会を得ました。
任地はコロンビア本土ではなく、カリブ海に浮かぶ小さなサンゴ礁の島、サンアンドレス島です。本当に小さな島ですが、きれいな海とビーチが観光資源のリゾートの島です。しかしこの島のビーチが海岸侵食で小さくなっているということで、私に要請されたのは、そのビーチの現状診断と対応策を考えることだったのです。
最初1ヶ月間は、首都ボゴタでオリエンテーションとスペイン語の語学研修があり、11月から島に赴任して暮らし始めましたが、島には日本人は一人もいなく、東洋人もほとんど見かけない全く別世界の環境でした。そんな中、つたない語学力ですが、フレンドリーな島民や同僚に溶け込んで、常夏のカリブ海での南国暮らしを満喫しながら、刺激に満ちた生活を楽しみ、また仕事にも取り組むことができました。海外で自炊しながら住むというのも初めてだし、当然、周囲が全員初対面の人ばかりで日本語が通じないという経験も初めてですが、本当に貴重な体験がたくさんできました。これからは、世界のどこででも生きていけそうです(笑)。
また、2年間の滞在期間中に、コロンビア各地を訪問したり、休暇を利用して南米各地に旅行にも行けたのも幸運でした。キューバ、ガラパゴス諸島、ブエノスアイレスやウルグアイの草原など、日本からはなかなか行きにくいところを訪れることができ、たいへんすばらしい経験ができて良かったです。語学がすこしできると行動範囲がぐっと広がりますね。
また要請された仕事に関しても、現地の配属先組織に土木エンジニアが一人もいなくて、必要なデータや測量機器などもほとんどない中でしたが、いろいろ道具を工夫して海底の水深計測や潮流調査などの海洋調査を実施し、そのデータを基に対応策を提案するところまでできました。なんとか現地の人のお役にたつことができて一安心というところでした。
私はコロンビア人があそこはパラダイスだという、かなり恵まれた環境の島で充実した2年間をすごすことができましたが、定年後の60代は、健康で気力があれば、自分のしたいことが何でもできる貴重な時期だと実感しました。
テーブルスピーチでは、パワーポイントのスライドで現地の写真を主に見ていただいたので、その写真を少し添付します。
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